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うらしまたろう

むかし、 むかし、 その また むかし、 海(うみ)べ の 村(むら) に うらしまたろう と いう わかもの が おかあさん と ふたり で すんで いました。 ある 日、 いつも の よう に さかな つり に でかけたら、 はまべ で 子ども たち が かめ を つかまえ、 たたいたり、 けったり して いました。 「なんて むごい こと を。」 うらしまたろう は かめ が かわいそう に なりました。

そこで 子ども たち の ところ へ いって、 「これ これ、 その かめ を どう する つもり だ。」 と いいました。 「まち へ うり に いく。」 いちばん としうえ の こども が いいました。 「そん なら わし に ゆずって おくれ。」 うらしまたろう は こども たち ひとり ひとり に お金(かね) を あげました。 こども たち は よろこんで かめ を わたして くれました。

「もう 二ど と つかまる ん じゃ ない ぞ。」 子ども たち が いなく なる と、 うらしまたろう は かめ を 海 へ にがして やりました。 かめ は うれし そう に くび を ふって いました が、 やがて なみ の なか へ きえて いきました。

つぎ の 日、 うらしまたろう が、 いわ の うえ で さかな を つって いる と、 海 の なか から かめ が あらわれ、 「うらしまさん、 うらしまさん。」 と よびました。 うらしまたろう は びっくり して かめ を みました。

「わたし は きのう いのち を たすけて いただいた かめ です。 おれい に りゅうぐう へ あんないします。 わたし の せなか に のって ください。」 いう なり、 かめ は 大きな かめ に なりました。

うらしまたろう が かめ の せなか に のる と、 なんだか いい きもち に なって きて、 いつ の ま に か、 ねむり こんで しまいました。 「さあ、 りゅうぐう に つきました よ。」 かめ に おこされ、 はっと 目 を あけたら、 みた こと も ない りっぱな ごてん が たって いました。 やね に は 金(きん) の かわら が ならび、 かべ は 銀(ぎん) と るり で できて いました。

門(もん) を くぐる と、 おとひめさま が たくさん の 女 の ひと たち と いっしょ に おもて へ でて きました。 (なんて きれいな ひと だ。) あまり の うつくしさ に うらしまたろう は こえ も でません。 「よう こそ おいで に なりました。 かめ を たすけて いただいて ありがとう。」 おとひめさま は すず の なる ような こえ で いいました。

おとひめさま は うらしまたろう を ごてん の なか へ つれて いきました。 ゆか は だいりせき で できて いて、 金(きん) びょうぶ の まえ に は、 しんじゅ や かい がら を ちりばめた つくえ が ありました。 つくえ の うえ に は 山 の ような ごちそう が ならんで います。 「さあ、 めしあがれ。」 おとひめさま が おさけ を ついで くれました。

(なんて うまい さけ だ。) うらしまたろう は おもわず 目 を つむりました。 こんな おいしい さけ は のんだ こと が ありません。 やがて おんがく が きこえて きた か と おもう と、 いろ とり どり の ぬの を 手(て) に した 女 の ひと たち が あらわれ、 しずかに おどり はじめました。 うらしまたろう は なに も かも わすれて うっとり と ながめました。

まるで ゆめ の ような まい 日 が すぎて いきました。 ところ が ある 日、 うらしまたろう は ふと、 おかあさん の こと を おもいだしました。 その とたん、 きゅう に いえ が こいしく なりました。

「ながい こと おせわ に なりました が、 そろそろ いえ に もどらなくて は なりません。」 うらしまたろう が いいました。 すると おとひめさま が いいました。 「いつまでも あなた と いっしょ に くらして いたかった のに。 でも しかた ありません。」

あとひめさま は うるし ぬり の たまてばこ を もってきました。 「これ は おみやげ の たまてばこ です。 わたし だ と おもって いつまでも たいせつ に して ください。 どんな こと が あって も けっして ふた を あけて は いけません。」 「わかりました。 おとひめさま の しんせつ は いっしょう わすれません。」 うらしまたろう は よろこんで たまてばこ を もらいました。

「それでは わたし の せなか に のって ください。」 かめ が でて きて いいました。 うらしまたろう は たまてばこ を かかえて かめ の せなか に のりました。 「さようなら。」 うらしまたろう も 手 を ふりました。 その とたん、 なん に も わからなく なりました。

ふと きが つく と うらしまたろう は はまべ に すわって いて、 みた こと も ない ひと たち が ふしぎ そうな かお で たって いました。 うらしまたろう は、 あわてて じぶん の いえ の ほう へ かけて いきました。 どこ へ きえて しまった の か じぶん の いえ も なく、 おかあさん の すがた も ありませんでした。

(そんな ばかな。) うらしまたろう は すっかり かわって しまった 村 の あちこち を あるき まわりました。 でも しって いる ひと は ひとり も なく、 いえ の こと や おかあさん の こと を たずねて も くび を かしげる ばかり です。 わずか 一(いち)ねん ほど りゆうぐう で くらした と おもって いた の に、 ほんとう は 三(さん)びやく ねん も たって いた の です。

うらしまたろう は たまてばこ を かかえて はまべ へ もどって きました。 むかし と かわらない の は 海 の けしき だけ です。 (こんな こと なら もどって くる ん じゃ なかった。) いくら 海 を ながめて も、 りゅうぐう へ つれて いって くれる かめ は もう 二(に)ど と あらわれませんでした。

かなしく なった うらしまたろう は、 おとひめさま と の やくそく を やぶって たまてばこ の ふた を あけました。 その とたん、 はこ の なか から 白(しろ)い けむり が でて、 うらしまたろう は、 たちまち おじいさん の すがた に なって しまいました。